ふたつ名の令嬢と龍の託宣
エラの主人はリーゼロッテだが、雇い主はダーミッシュ伯爵だ。
今回の公爵家滞在はリーゼロッテの花嫁修業も兼ねているため、エラとふたりばかりで過ごすのは避けるようにとダーミッシュ伯爵に言われている。叶うことならエラはリーゼロッテのそばにずっと控えていたいのだが、リーゼロッテが公爵家に馴染めるよう別行動をとることも多かった。
もちろんリーゼロッテの朝の身支度や夜の着替え・湯あみの世話などは、誰にも譲る気はないが、自分もいずれリーゼロッテの輿入れで公爵家へとついていくことを考えると、今から人脈作りに励むのはやぶさかではなかった。
この刺繍教室もその一環だった。公爵家のお針子担当の少女たちに刺繍を教えるのは思いのほか楽しかったし、その他の使用人たちもこちらが恐縮するくらい親切にしてくれる。
正直言って拍子抜けだ。公爵家でリーゼロッテが辛い目にあわないよう意気込んでついてきたのだが、エラはまるで客人扱いをうけている。
王城でそうだったように、嫌味の一つも言ってくる人物はどこにでもいるものだが、公爵家ではまったくの杞憂のことだった。
今回の公爵家滞在はリーゼロッテの花嫁修業も兼ねているため、エラとふたりばかりで過ごすのは避けるようにとダーミッシュ伯爵に言われている。叶うことならエラはリーゼロッテのそばにずっと控えていたいのだが、リーゼロッテが公爵家に馴染めるよう別行動をとることも多かった。
もちろんリーゼロッテの朝の身支度や夜の着替え・湯あみの世話などは、誰にも譲る気はないが、自分もいずれリーゼロッテの輿入れで公爵家へとついていくことを考えると、今から人脈作りに励むのはやぶさかではなかった。
この刺繍教室もその一環だった。公爵家のお針子担当の少女たちに刺繍を教えるのは思いのほか楽しかったし、その他の使用人たちもこちらが恐縮するくらい親切にしてくれる。
正直言って拍子抜けだ。公爵家でリーゼロッテが辛い目にあわないよう意気込んでついてきたのだが、エラはまるで客人扱いをうけている。
王城でそうだったように、嫌味の一つも言ってくる人物はどこにでもいるものだが、公爵家ではまったくの杞憂のことだった。