ふたつ名の令嬢と龍の託宣
急な王城滞在の時は、滞在初日から王城の厨房にかけあってリーゼロッテのためにクッキーを焼いてもらうために苦労したのだ。結局は公爵のとりなしで事なきを得たが、それなりの人脈を作るには紆余曲折があってものすごく苦労をした。もちろんリーゼロッテにはそんなことは何も知らせてはいない。
公爵家でもその手の手合いは必ずいるだろうと覚悟していたのだが、そんな様子はまったくみられなかった。
それどころかみなに好かれ、慕われ、なぜだか公爵家の使用人の間で、争奪戦みたいなことまで起こっている。リーゼロッテではない。みながエラをとりあっているのだ。
「エラ様、こちらを」「いいえ、エラ様わたしの方を」「ダメです、ぜひともコレを」
慕われるのは悪い気はしないが、エラ様、エラ様、エラ様と公爵家のみなが持ち上げてくるので、エラにしてみれば恐ろしく身の置き場がない。しかもそれは刺繍を教えている少女たちだけではなかった。
厨房でも庭先でも廊下でもどこでも、老若男女問わず公爵家の者たちがエラに似たような対応を示すのだ。
(愛らしいお嬢様ならともかく、なぜわたしがこんなことに……)
リーゼロッテのためにいい関係を築こうと、エラはたじたじになりながらも、ひとりひとり丁寧に対応していくしかなかった。
公爵家でもその手の手合いは必ずいるだろうと覚悟していたのだが、そんな様子はまったくみられなかった。
それどころかみなに好かれ、慕われ、なぜだか公爵家の使用人の間で、争奪戦みたいなことまで起こっている。リーゼロッテではない。みながエラをとりあっているのだ。
「エラ様、こちらを」「いいえ、エラ様わたしの方を」「ダメです、ぜひともコレを」
慕われるのは悪い気はしないが、エラ様、エラ様、エラ様と公爵家のみなが持ち上げてくるので、エラにしてみれば恐ろしく身の置き場がない。しかもそれは刺繍を教えている少女たちだけではなかった。
厨房でも庭先でも廊下でもどこでも、老若男女問わず公爵家の者たちがエラに似たような対応を示すのだ。
(愛らしいお嬢様ならともかく、なぜわたしがこんなことに……)
リーゼロッテのためにいい関係を築こうと、エラはたじたじになりながらも、ひとりひとり丁寧に対応していくしかなかった。