さよなら、片想い
空を見れば、一番星が煌めいている。一番星はいいな……。流れ星みたいにあっという間に消えて行かなくて、好きな人にずっと見てもらえる。

きっとあの一番星は、ナタリーにとっては渉で、渉にとってはナタリーなんだ。切なくて、苦しくて、目の前がぼやけてしまう。でも、涙が目からこぼれることはなかった。

「研二、まだ残っていたの?」

ナタリーがいつの間にか教室に入ってきていて、声をかけてきた。そっか、ナタリーは今日図書委員の仕事の日だった。俺は慌てて涙を引っ込め、ナタリーの方を向く。

「ああ、ちょっと先生に用事があってな。もう少ししたら帰ろうかと思ってる」

「そっか……。あのね、さっき渉が図書室に本を借りに来てくれたの!」

「あの読書嫌いの渉が!?」

「うん!恋愛小説の短編集を借りて行ったの」

渉が本を借りたというのも驚いたが、渉が来てくれたことを喜ぶナタリーは幸せそうだ。恋する女の子って一気に可愛くなるよな……。
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