さよなら、片想い
「でも、恋愛小説を借りたってことは、渉は誰かが好きってことでしょ?きっと私が敵わない人なんだろうなぁ……」

ナタリーの幸せそうな顔は消え、寂しげな表情が俺の瞳に焼き付けられる。刹那、まるでナイフで刺されたかのような痛みが胸を走る。痛くてたまらない。好きな人のそんな顔より、心からの笑顔がほしい……!

そう初めて思えた時、俺がすべきことがストンと胸に降りてきた。そうだ、最初からそうすればよかったんだ。俺はナタリーの流れ星。流れ星に願ったお願い事は叶う。願いを叶えてあげないと……。

「ナタリー、今すぐ渉に告白しに行こう!」

ナタリーの華奢な肩を掴みそう言うと、ナタリーは「な、何言ってるの!?」と緊張した表情を見せる。俺は……心の奥底にある気持ちを飲み込み、精一杯の笑顔で言った。

「ナタリーはさ、めちゃくちゃ綺麗だよ。誰も敵わないくらい綺麗だ。だからきっと大丈夫。渉なら、ナタリーのことちゃんと考えてくれるよ」
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