トシノサ恋 〜永久に…君に〜 番外編
「…先生…どうして?」

沢村の近くまで駆け寄ると、全力疾走のせいで乱れた息をしながら膝に手をついた。
真夏の日差しも容赦なく照りつけてきて余計に息が上がる。

「…ハァハァハァ…ちょっと…
ハァハァ苦しーっっ!沢村、歩くの早いなっっ。」

そう言って彼女を笑って見上げた。

すると、沢村は俺の顔を見ながら腹を抱えて笑い出した。

「アハハっっ何その顔…茹でダコみたいっ…
イケメンが台無しじゃん。アハハ…おかしいっ。」

「…ハァハァ…お前…笑いすぎっ…」

ようやく息が整いだし、まだ笑っている沢村に少し呆れ顔をする。

「アハハ…だって…いつもクールな新井先生がこんなに全力で追いかけてきてくれたんだもん…
それが…嬉しい…」

そう言った彼女は、いつの間にか涙目になって、俺を見つめていた。

「やっぱり…先生は、私が思っていた人だった…バカみたいに真面目で…いつも一生懸命で…
だけど不器用だから、なかなか伝わらなくて…
冷たいようだけど、本当はすっごく優しくて…
そんな先生が好き…私は先生が好きです。」

こんな風に見てくれる奴もいるんだな……。
紗和も昔の俺を、そう言ってくれたよな。

なら、ちゃんと向き合わないとだめだよな。

「沢村…俺には一生守るって決めてる人がいる。俺は…その人と生きていきたい。
だから、沢村の気持ちには答えられない。」
そう言って彼女を見つめる。
その瞬間…
今まで泣きそうな表情をしていた彼女が優しく笑いだした。


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