意地悪な副社長との素直な恋の始め方
あまり知りたくない真実に辿り着きそうになったわたしの思考を打ち切るように、朔哉が冷ややかに命ずる。
「余計なことは考えなくていいから、さっさとシャワーしろ。偲月は休みかもしれないが、俺は仕事がある」
「よ、余計なことっ……て!」
余計なことじゃないと抗議しようとした言葉は、不意に降ってきたキスに呑み込まれる。
しかも、Tシャツの裾から潜り込んだ手が、すかさず胸を包み込む。
「胸の大きさにこだわりはないし、不満に思ったこともない。これくらいが、ちょうどいい」
「ちょ、な、なにす……」
朔哉は、やすやすとわたしの身体を壁際まで追い詰めて、手慣れた愛撫を加えながら、耳元で囁く。
「重要なのは、大きさじゃなくて感度だ」
「なん、」
「昨夜の続きをしたくないか?」
「したく、な……」
「素直になれよ」
「や……」
昨夜、朔哉と何をしたのか記憶はまったくない。
でも、身体は、これまで数えきれないほど与えられた快感をしっかり憶えている。
期待に震え、熱を帯びていく身体に、理性は瞬く間に引きずられ、何もかもどうでもよくなってしまいそうだ。
疑問も不安も山積みに放置したまま、なし崩しで関係を再開させるのは賢いやり方じゃないとわかっていても、キスに溺れそうになる。
太腿を這い上がる手が、ヒップに触れ、Tシャツしか着ていないことを思い出させ……。
(こんなの、ダメだってば! 流されてるだけ……)
必死になって、どうにか踏み止まろうとするけれど、すっかり身体は抵抗するのを忘れている。
されるがままにTシャツを脱がされ、下着も剥ぎ取られ、素っ裸になったところで腰に回った逞しい腕で抱え上げられて、足が宙に浮いた。
直に触れた肌の熱さに、冷静さを欠いているのは自分だけじゃないのだと思うと、嬉しくなる。
このままベッドへ運ばれて、その先に待ち受ける展開を受け入れるしかないと覚悟を決めた……のだけれど。
下ろされたのは、ベッドではなく固い床の上だった。
(え?)
「一時間以内に家を出る。十五分でシャワーを終えろ」