恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)
<ブランシュール城・16時15分>

「君はテレーサ様の・・味方なのか?」

人質生活で敵か味方か判断する事、
後は利用できるか、否かの判断は生死をわける。

アルは長年の経験から、
すぐに人を判断する癖が体に染みついていた。

「味方・・というより、かわいそうな人って感じかな。
あきらめている・・というか・・
何もできないというか・・
いえ、もっとひどい生活ね。
まだ若いのに・・」

ダイアナは、コーヒーカップの縁を指でなぞった。

「それに、この城が売り払われて、別の誰かの手に渡ったら、
この村の私たちの生活が
もっと苦しくなるかもしれないでしょう。
どんな人がどんなやり方をするか・・

テレーサ様が領主なら、とりあえず現状維持よね。
貧乏だけど、まだ城には売り払える価値物がいくらかは残ってはいるし。
それがすべてなくなったら・・
どうなるかわからないけれど」

「アル、あなたもテレーサ様の味方でしょう?」
ダイアナがコーヒーを飲んで言った。

「そうだな・・彼女は俺を人質から解放してくれた恩があるしね」
アルはたばこに火をつけた。

ダイアナは
<また、様子を見に来る>と言って帰っていった。

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