婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
日々の執務の合間に、メイナードとルーサーが魔物の活性化の理由を探っているが、今のところ明確な答えは出ていなかった。

ディナと共に、サザラント城の広々した回廊を進み、作業場に向かう。

「おはようございます」

部屋の扉を開き普段通りに挨拶をした。しかし返事がない。

作業場をぐるりと見回してみると、いつもはアレクシアよりも先に来ているマナカと手伝いの騎士ふたりの姿が見えず作業場は無人だった。

「みんなはどこに行ったのでしょうか」

ディナは怪訝そうに呟き、窓の方に向かう。

閉じていたカーテンを開き、作業場から続く庭の方に目を向けた。

「あ、あそこにいますね。なにをしているんでしょう」

アレクシアもディナの隣に立ち、視線を庭に向ける。

黒いローブを纏ったマナカが地面にしゃがみこみ、少し後ろに騎士ふたりが控えていた。

「なにか落ちていたのかしら?」

様子を窺っていると視線を感じたのか、騎士のひとりがこちらを振り返る。

アレクシアに気づいたようで、深々と頭を下げててからマナカたちに声をかけた。

マナカはゆっくりと振り向き、それからおいでとでも言うように手招きをした。

「私たちも来いってことですかね?」

ディナが戸惑ったようにアレクシアに言う。

「そうみたい。行ってみましょう」

アレクシアとディナは作業場を出て、早足で庭に向かった。

「マナカ、どうしたの?」
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