婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
◇◇◇
メイナードは剣を一振りし、黒い波動を空に飛ばした。
サザラント城に近づいていた、鳥型の魔物たちは一瞬にして塵となり姿を消す。
少しの負担もなく魔物を討伐したメイナードは、眉間にしわを寄せた明らかに不機嫌な顔で剣を鞘に納めた。
「メイナード様、すべて片付いたようですよ」
周囲の様子をうかがっていたルーサーが告げる。
砦から魔物の数が増えていると連絡を受けたのは、ほんの少し前のことだった。
ルーサーと状況を確認しようと、話していたところで魔物の接近の気配を感じ急ぎ迎撃に出た。
「今度はアレクシアの作業場の方に向かっていたな」
以前、魔物が降り立ったのも彼女の私室に繋がる庭。
やはり偶然ではなく、アレクシアを狙っているのだろう。
「ルーサー、魔物の異変の原因はまだ分からないのか?」
「アレクシア様の魔力に反応しているのはたしかだと思うんですけどね、今日に限って暴れたのにはまた別の要因があると思いますよ。城内に変化がなかったかどうか聞いてみましょう」
メイナードは苦々しい思いで、手を握りしめた。
(このままではアレクシアが危険だ)