婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「で、でもやたらと大きくないですか? 不気味な感じがしますし。なんて言う鳥なんでしょうか」

「分からないけど、危険な鳥ではないはずよ」

気をつけなくてはならない動植物については、ひと通り学んでいる。その中に目の前の鳥は当てはまらない。

怖がるディナを置いて、そろそろと近づく。

近くで見るとますます不思議な鳥だった。

(嘴(くちばし)が黒いのね……頭のとがっているものは、こぶ?)

ざっと視線を巡らすと、右の羽が傷ついているのに気がついた。

しかし矢ではなく、大きな爪痕のような傷だ。

(獣に襲われたみたい)

とりあえず羽の傷を癒すために、手を差し伸べる。

精神を集中して患部に魔力を注ぐと、辺りが白金の光りに包まれた。

アレクシアの得意とする光魔法の中のひとつ、治癒の術だ。

大きな傷ではないし、そう時間を置かずに癒える……はずが、予想外の反応が起きた。

ジュっと燃えるような音を立てて、不思議な姿の鳥が跡形もなく消えてしまったのだ。

「ええっ? ど、どうして?」

「今のなんですか!」

隣で見ていたディナも、驚きの声を上げる。

「わ、分からない。普通に治癒の術をかけたんだけど……消えた?」

そんなことがあるのだろうか。

茫然としたままディナと顔を見合わせる。
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