婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「では、一階の応接間で話しましょう。あそこならアレクシア様の私室にも近いですし。俺は騎士に指示を出してから向かいます」

「分かった。すまないが、ついて来てくれ」

メイナードに言われ、アレクシアとディナは彼の後に続き、城内に入る。

応接間は本来晩餐会の後などに客と歓談するための部屋だが、今はアレクシアが食後のお茶を飲むときにくらいしか使っていない。

メイナードが部屋の中央のソファーに腰を下ろした。

アレクシアは少し迷ってから彼とは別の椅子に座った。

一応夫婦なので隣に並んで座るべきか悩んだが、メイナードから近寄りがたい気配を感じたのだ。
彼はそんなアレクシアには見向きもせずに、黙ったままだ。

(ルーサーが来るまでなにも話さないのかしら)

こちらからなにか話しかけた方がいいのだろうか。けれど、声を掛けづらい。

どうしようか悩んでいるうちに、意外と早くルーサーがやって来た。

「お待たせしました」

ルーサーはお茶の用意が整ったワゴンを押していた。

「アレクシア様たちは外にいたようですから喉が渇いているかと思いまして、焼き菓子もありますよ」

「あ、私が用意します」

ディアがルーサーからワゴンを引き取り、ポットのお茶をカップに注ぐ。

テーブルに並べ終えると、ルーサーが口を開いた。

「アレクシア様への質問はまだですよね」

「ああ」

メイナードが頷く。
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