婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
咄嗟に攻撃魔法を放ったが、距離が遠すぎるため、わずかに衝撃波が届いただけで致命傷には至らなかった。

しかも普通なら反撃してくるはずの魔獣が、なぜか速度を上げて逃げ出してしまったのだ。

「追え!」

騎士たちに命じて鳥の後を追う。町に入る前に攻撃可能範囲に追いつき、倒さなくては。行方を目線で追っていたメイナードは、魔獣が城の方向に向かっているのに気づき、舌打ちをした。

「まずいな……」

魔獣は城の東の方に向かい、そのまま地上に急降下した。

(あの方角は!)

アレクシアの居室の辺りだ。

メイナードは馬の速度を限界まで上げる。部下たちが追いついてこないが、待っている時間はない。
必死に馬を駆り、城門を駆け抜ける。

城を守備する騎士たちが、驚いたようにメイナードを見ていた。

(気づいていないようだな)

建物の前で馬から飛び降りる。丁度そのとき騒ぎに気付いたルーサーが飛び出してきた。

「メイナード様!」

「いったいどうしたのですか?」

「魔獣を追っている」

メイナードはそれだけ言うと駆け出した。

「魔獣? まさかこの城に?」

ルーサーの慌てる声が背後から聞こえてが、脇目も振らずアレクシアの居室を目指す。
回廊を駆け、アレクシアの住む棟に着くと中庭に向かった。

しばらくすると、緑の樹々の中にキラキラと輝く金色の髪が見えた。

「アレクシア!」
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