婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
メイナードは人の力を超えるこの魔力を、十年前に呪いと引き換えに手に入れたのだ。

間の森を監視するブラックウェル公爵としては必要な力かもしれないが、メイナード個人としては……。

「ほかに魔獣がいないか、周囲を調査しろ」

浮かんだ考えを打ち消してメイナードは言った。



調査のために森に滞在して十日が経った。

グリュプスの襲撃以降は問題になるような出来事はなく、メイナードは砦を離れサザラント城への帰路についた。

(彼女はどうしているのだろうか)

馬を駆りながらも思い出すのは、婚儀の日に別れたアレクシアのこと。

ときどき来るルーサーからの報告では、とくに問題はないようだが、慣れぬ城で不自由はしていないか気がかりだ。

彼女に早く会いたい。けれど自分と会うのを嫌がりはしないだろうか。

道中は至って順調だった。連れているのは精鋭の部下数人のみなので移動が早い。

しかしそろそろ城下町に着くという頃、鳥型の魔獣が空を旋回しているのを発見した。

(あれは……森から出てきたのか?)

危険度のランクは低い魔物だが、空を飛ぶだけに行動範囲が広い。

しかもあの個体はかなり小さそうだから、砦の監視の目をかいくぐって来たのかもしれない。

それにしても、魔獣が砦にいる騎士たちを無視して町に向かうなんて初めてのことだった。

(どうなっている?)
< 61 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop