婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
わざわざアレクシアの好みを聞き出して用意するという面倒なことをしようとしている。

普通の夫婦の夫ならおかしくないだろうが、婚儀からほとんど交流のない夫婦間では違和感がある。
どういった心境の変化なのだろう。

怪訝に感じ考え込んでいたアレクシアの頭に、ふとある考えが思い浮かんだ。

(もしかして……旦那様は私をそれほど嫌がっていない?)

胸がドキドキする。抑えようとしても期待が生まれるのを止められない。

「どうした? 遠慮なく言ってくれ」

「あの……欲しいものはありません。ただ、旦那様に聞きたいことがあります」

「俺に?」

メイナードがわずかに首を傾げた。

「はい」

「どのようなことだ?」

とりあえず聞いてくれるらしい。アレクシアはごくりと息をのみ、覚悟をした。

「旦那様は、私を疎ましく思っているのではないのですか?」

カップを持ちお茶を飲もうとしていたメイナードは、アレクシアの言葉にぴたりと動きを止めた。
かなり驚いているように見えた。

「なぜ……そう思う?」

心底不思議と感じているような声音だった。

「婚儀のあと、旦那様は不在がちですし、城にいるときも一緒に食事をしたことさえありませんから。特殊な状況で嫁いだ私ですから、避けられても仕方がないのだと思っていました。ですが……」

「そ、それは違う!」

メイナードはがちゃん!と音がなる程強くカップをソーサーに戻した。
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