政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
 ひとりになった寝室で柚子は窓際に歩み寄り、高層階から見下ろす都心の街を眺めた。
 結婚前、政財界に大きな影響力がある朝比奈家に嫁ぐということは、並大抵のことではないと両親からよく言い聞かされた。
 引っ込み思案で、いつも姉の影に隠れていた柚子だけれど、柚子は柚子なりに、覚悟を決めて結婚をした。
 大変だとわかっていても、それでも彼といたかったから。
 だから少しくらい忙しくてもそれ自体はちっともつらいとは思わない。彼の母も柚子に無理なことは要求しない。
 それはもう何度も伝えたのに。
 それなのに彼は、いつもああやって申し訳なさそうにするのだ。
 それが柚子にはたまらなく寂しかった。
「謝らないでほしいのに……」
 柚子はそう呟いて、小さくため息をついた。
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