恋歌-Renka-
「なあ、なあ!私、あれ行きたい!」
「え?あ、うん。え……」
私がピシッと指差す方向には
3-5お化け屋敷と書かれた
看板が立っている。
帝は一瞬固まるが
あからさまに動揺している声で
「べ、別にいいけど……?」
と言ってはいるが…………
体がガクガク震えてるぞ?
本当に大丈夫なのか?
私は隣でガグブルしている
帝を心配しながら
お化け屋敷に足を
踏み入れたーーー。
視聴覚室全体を使って
構成されているお化け屋敷。
3-5といえば………
学級委員長 兼 生徒会長
伊里沢 塁 のクラス
じゃないか!!
伊里沢先輩が生徒会長だと
知ったのは、実はつい最近。
この間の全学年集会で
初めて知ったのだ………
会長なら間違いなく
入学式で挨拶しただろうに
どんだけ人間に興味
無かったんだ私………
「おー。リアルにつくられてるな!わくわくしてきた!」
「普通、お化け屋敷でわくわくする人なんているか?」
帝が呆れた顔で
私を見ながら言う。