恋歌-Renka-




その後も幽霊(役)が
出てくる度に


「ぎゃあああああぁあああ!」



と叫んでみたり




「もう、やめて………っ!無理無理。助けてくれっ!」



と私に助けを求めたり




「もう帰りたい……ここから出して!!」



ついには、棄権宣言まで
してしまったではないか。




面白い奴




「はいはい。ここから出る為に進んでるんだぞ?私はちゃんと側にいるから。」




帝はコクンと頷いて
私に精一杯しがみつく。




もう本当………




どっちが男でどっちが女か
わからんな………




無事、出口を見つけ
生還した私たち。






まあ、本物じゃないから
命の危険なんてないんだけど……






「花音やるな!」





後ろから伊里沢先輩が
手を振りながらやってくる。






「伊里沢先輩!」





「お前だけだぞ?あんな冷静に……いやむしろ楽しんでお化け屋敷を進んでいく奴」





「そうですか?私はただオカルト系が大好きなだけです!」





「お前、ほんっと面白いな!」





そう言って私の頭を
ポンポンと叩く。




「ちょっと、先輩。花音に触らないでもらえますか?」




帝が私の頭をポンポンとする
先輩の手を払って威嚇するように
睨み付ける…………




なんか………怒ってる?
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