恋歌-Renka-
「まあ、せいぜい頑張りなよ。」
それだけ残して先輩は
視聴覚室の中へ戻って行った。
「行くぞーーー……」
暫く先輩が入っていった
視聴覚室の入り口を睨んでいた
帝は私の手を引いて歩き出す………
止まることなく歩き続ける帝に
「怒ってるのか?」
そう聞いてみる
「別に怒ってない」
不機嫌な声でそう答えたかと思えば、急に足を止めるから
帝の背中に顔面をぶつけてしまった。
「いたっ!…………っもう、急に止まるなよ!」
振り返った帝を
涙目になりながら睨む
そんな私を真剣な
顔で見つめながら
「怒ってない………けど、あの先輩には気をつけろ」
なんて言う…………
あからさまに不機嫌な顔と声で
何いってんだコイツは?
それに伊里沢先輩に気をつけろ
ってどういう意味だよ!?
先輩がお前に何かしたか!?
私は理不尽なことを言う帝に
心底、腹が立ってきた。