恋歌-Renka-
ドスッ
目を閉じたのと同時に
鈍い音が聞こえた。
恐る恐る目を開けてみると
同じくらいの年の男の子が
軽々とナンパ男たちを
倒している…。
「何すんだテメェ!!」
私を掴んでいた奴等は
私から離ると男の子目掛けて
殴りかかっていくが
呆気なくも秒殺。
「覚えてろよ!!」
男たちはありきたりな
捨て台詞を吐くと
その場から走り去っていった。
「大丈夫?」
と、にこやかに笑う男の子は
とても顔が綺麗でまさに
美少年そのもの。
「まあ、礼は言う。ありがとう。」
「素直じゃないんだね、冬院さんって。」
冬院さん?
彼の口から私の名前が
出たことに驚く…。
「私を知ってるのか?」
「知ってるよ、同じクラスだもん。俺は帝 涼太。覚えてね?」
そう言って手をひらひら
させながら去って行く彼。
同じクラスだったのか……
まぁ、でも……礼もしたし
今後、関わる必要はないよな……。
そんなことを考えながら
彼の後ろ姿をただボーッと眺めていた。