下弦の月*side story*
それから、どんどん僕の身体は蝕まれて………





最後を惜しむように、八重さんに甘えた。





もう、前みたいに刀を握れないってわかっていても。




皆の所へ行く、と我が儘を言ったり。




膝枕をしてもらったり。





もっともっと、長く八重さんと過ごしたかったな。




笑顔を見たかったな、とか独り占めしていた事への嬉しさと。





優越感が、恐れていなかったはずの死。





今は………




どんどん恐怖に変わっている。






でも僕が逝った先に、山南さんや平助、源さんや山崎くんが待っててくれてるかな。





まだ早いって、怒られるかな。





少しでも、怒られないように悔いだけは残しちゃいけないよね。








僕が君に対する最後の願いだよ。





聞いてくれる?
< 23 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop