下弦の月*side story*
《総司》


佐之さんが、買ってきてくれた団子。




近藤さんがいつも買ってきてくれた団子と同じ味がして、



自然と笑みが溢れた。







「にしても、佐之さん。僕と話さずに帰るなんて冷たいな…」






「沖田さんが、眠ってたからですよ。急いでるみたいでしたし。」







「…そうなんだ。皆は元気だって言ってた?」






はい、と頷いた八重さんは僕と目を合わさなかった。





ずっと、見てきた僕にはわかるんだよ。




何かを隠してる時、言いづらい事がある時。




目を合わさずに頷く君の癖。





だけど、聞かない方が身のためのような気がしたから。





聞かないけど………




「八重さんは、一くんが好き?」






「…っ…好きですよ…」






顔を赤らめながら、俯く八重さんは可愛くけれど。




切ないよな。







「真面目で不器用な一くんより、大切にしてくれる佐之さんの方が幸せになれるのに。八重さんは健気だね、僕だったら佐之さんを好きになるな…」





切なさを隠して、少し意地悪を言うのもやっぱり君が好きだから。






「わかってますよ、自分でも。だけど…私は斎藤さんが好きなんです。」






そんな、答えはお見通しだよ。







「そうか、そうだよね。」





だからさ、まだ僕の心からの願いは気持ちは伝えないよ。






自分の身体が本当に、ヤバくなった時に。




君へ贈る。
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