空を舞う金魚
*
「綾城さんは同窓会には来ないの?」
やっぱり千秋が給湯室で従業員のマグカップを洗っているところに渡瀬が話し掛けてきた。定時が回ったこの時間は、帰る人は既に席を立っているし、残業する人は席で休憩をしている。つかったマグカップは定時内に給湯室に持ってこられるので、今の時間は千秋が一人でマグカップを洗っていることが多い。
渡瀬の問いに、目を見ないようにして、はい、と応える。
「なんで? 先生方にも会えるよ? 十年ぶりだし、皆変わってると思うから、会うと楽しいと思うのに」
……無理だ。千秋にはあの時のクラスメイトの顔と名前すら思い出せない。じっと目立たないように過ごした三年間。あの高校生活に楽しいことなんてなかった。そんな人たちと今更会って、何をすればいいというのだろう。
「綾城さんは同窓会には来ないの?」
やっぱり千秋が給湯室で従業員のマグカップを洗っているところに渡瀬が話し掛けてきた。定時が回ったこの時間は、帰る人は既に席を立っているし、残業する人は席で休憩をしている。つかったマグカップは定時内に給湯室に持ってこられるので、今の時間は千秋が一人でマグカップを洗っていることが多い。
渡瀬の問いに、目を見ないようにして、はい、と応える。
「なんで? 先生方にも会えるよ? 十年ぶりだし、皆変わってると思うから、会うと楽しいと思うのに」
……無理だ。千秋にはあの時のクラスメイトの顔と名前すら思い出せない。じっと目立たないように過ごした三年間。あの高校生活に楽しいことなんてなかった。そんな人たちと今更会って、何をすればいいというのだろう。