空を舞う金魚

「じゃあ、知ったら答えがもらえるの? そうだとしたら、この機に考えてよ、俺の事。俺はあの時からずっと、綾城さんの事、忘れたことなんて無かった。それだけは、覚えておいて。……同窓会は欠席でつけておく。心配しないで」

そう言って渡瀬は給湯室から去って行った。

……あんなことを言うつもりじゃなかったのに。渡瀬と話すと後悔ばかりが胸に浮かび上がる。そしてあの時動けなかった自分を、一番呪っているのだ。
呪縛が解けない。もう一度渡瀬に会いさえすればあの時から止まっていた時計が進みだすと思っていたのに、全然的外れだった。どうしたら千秋の時は動き出すのだろう。あの教室に留まったままは嫌だと、それだけは分かった……。
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