空を舞う金魚
*
別の日の昼休み。スマホがピコンと鳴って、ラインの通知を知らせてきた。送信者は砂本だった。
――『今日、十九時で帰れそうなんだけど、一緒に食事でもどう?』
千秋は十八時上がりだから、一時間くらい何処かで時間を潰せばいい。喜んで、と返事を送ると、安堵する犬のスタンプが送られてきた。その一連のやり取りに、口許が綻ぶ。
砂本は安心できる男性だ。千秋がおぼつかないところをきちんと分かって、それでこうやって少しずつ慣れさせてくれようとしている。砂本の経験からしたら、きっと面倒くさいことだと思うのに、それを千秋相手にしてくれることは、砂本への信頼度を高めていた。
「なにかいいことのお知らせだった?」
一緒にお弁当を食べていた滝川由美(たきかわゆみ)が話し掛けてきた。滝川は千秋と同期入社で二歳年上。社員研修のカリキュラムは違ったけど、入社当時からこうして一緒にお弁当を食べる仲だ。ブロッコリーのチーズ焼きをぱくりと口に放り込んで、きゅっと口角を上げる滝川は、おしゃれでかわいくて、砂本と同じく飲み会でも話題の中心だ。千秋はスマホを裏返しにして机の上に置くと、なんでもないんです、と返事をした。
「ところでさ、この前大阪から来た渡瀬くん」
滝川の言葉に、半分にしたハンバーグを飲み込んでしまう。うぐ、と喉に詰まりかけたけど、なんとか堪えて返事をする。
別の日の昼休み。スマホがピコンと鳴って、ラインの通知を知らせてきた。送信者は砂本だった。
――『今日、十九時で帰れそうなんだけど、一緒に食事でもどう?』
千秋は十八時上がりだから、一時間くらい何処かで時間を潰せばいい。喜んで、と返事を送ると、安堵する犬のスタンプが送られてきた。その一連のやり取りに、口許が綻ぶ。
砂本は安心できる男性だ。千秋がおぼつかないところをきちんと分かって、それでこうやって少しずつ慣れさせてくれようとしている。砂本の経験からしたら、きっと面倒くさいことだと思うのに、それを千秋相手にしてくれることは、砂本への信頼度を高めていた。
「なにかいいことのお知らせだった?」
一緒にお弁当を食べていた滝川由美(たきかわゆみ)が話し掛けてきた。滝川は千秋と同期入社で二歳年上。社員研修のカリキュラムは違ったけど、入社当時からこうして一緒にお弁当を食べる仲だ。ブロッコリーのチーズ焼きをぱくりと口に放り込んで、きゅっと口角を上げる滝川は、おしゃれでかわいくて、砂本と同じく飲み会でも話題の中心だ。千秋はスマホを裏返しにして机の上に置くと、なんでもないんです、と返事をした。
「ところでさ、この前大阪から来た渡瀬くん」
滝川の言葉に、半分にしたハンバーグを飲み込んでしまう。うぐ、と喉に詰まりかけたけど、なんとか堪えて返事をする。