空を舞う金魚
渡瀬の目が真剣だ。じっと千秋の目を見据えて、奥の奥まで見透かそうとしている。千秋は怖くなって顔を俯けた。膝の上でぎゅっと手を握って、弱く言葉を紡ぐ。
「……渡瀬くんはあの時、居なくなったじゃない……。それなのに、私がずっとその時のままの気持ちでいなきゃいけない理由はないわ……。……それに……」
「……それに?」
渡瀬のおうむ返しに、言おうかどうか、迷う。でも、はっきりさせておかなきゃ駄目だ。
「私……、砂本さんに、……お付き合いを申し込まれてるの……。……返事は保留にしてるけど、……良い人だなって、…………」
――男と女としてだ。