偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「そんな話、聞いてない!」
「口止めを頼んでいたからな」
しれっと言われて開いた口がふさがらない。
両親と蘭子さんは私の気持ちと彼の本気を見極めるべく、しばらく静観すると言い放ったそうだ。
「当然だと思ったよ。ご両親にしたら大切な娘だ。是枝社長もうちが優良企業でいくらうまみのある提携話とはいえ、大事な妹分を簡単に差し出すわけがない」
先ほど親身にアドバイスをくれた蘭子さんの姿を思い出す。
温かな愛情に胸が詰まった。
「待って、じゃあ貴臣くんも?」
尋ねた途端に彼がギュッと眉根を寄せる。
「是枝さんにはすでに電話で伝えた。俺以外の男を名前で呼ぶのは正直嬉しくない」
「でも……貴臣くんは兄みたいな存在で」
「わかっている。でも俺はお前に関しては余裕がないことを知っておいてほしい」
真っすぐな物言いに心が乱される。
櫂人さんが私の正面に向き直り、そっと左手をとった。
「たくさんの誤解とつらい思いをさせて悪かった。もっと早くに伝えたらよかったが、色々な件が重なって後回しになってしまった。……傷つけて本当にすまなかった」
「ううん、もういいの。私をあきらめずに捜してくれてありがとう。最初から私自身を櫂人さんは望んでくれていたんだね」
我ながら単純で自分勝手だと思うが、幸せな事実に胸が温かくなる。
「口止めを頼んでいたからな」
しれっと言われて開いた口がふさがらない。
両親と蘭子さんは私の気持ちと彼の本気を見極めるべく、しばらく静観すると言い放ったそうだ。
「当然だと思ったよ。ご両親にしたら大切な娘だ。是枝社長もうちが優良企業でいくらうまみのある提携話とはいえ、大事な妹分を簡単に差し出すわけがない」
先ほど親身にアドバイスをくれた蘭子さんの姿を思い出す。
温かな愛情に胸が詰まった。
「待って、じゃあ貴臣くんも?」
尋ねた途端に彼がギュッと眉根を寄せる。
「是枝さんにはすでに電話で伝えた。俺以外の男を名前で呼ぶのは正直嬉しくない」
「でも……貴臣くんは兄みたいな存在で」
「わかっている。でも俺はお前に関しては余裕がないことを知っておいてほしい」
真っすぐな物言いに心が乱される。
櫂人さんが私の正面に向き直り、そっと左手をとった。
「たくさんの誤解とつらい思いをさせて悪かった。もっと早くに伝えたらよかったが、色々な件が重なって後回しになってしまった。……傷つけて本当にすまなかった」
「ううん、もういいの。私をあきらめずに捜してくれてありがとう。最初から私自身を櫂人さんは望んでくれていたんだね」
我ながら単純で自分勝手だと思うが、幸せな事実に胸が温かくなる。