偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「わかってる。白坂さんを利用するも同然だからな。ただことわっておくが、見合いで会う前に本人に事情は話したんだ。それで彼女からも想い人がいると打ち明けられて、お互いのために偽装見合いをするに至ったんだ」


「……そう、だったんだ」


白坂さんの協力を得て、彼はずっと私を捜していたという。

当たり前だが、白坂さんの親類縁者にも私はおらず行き詰まりを感じていたそうだ。

ところが形ばかりの見合いに臨もうとしていた矢先に思いがけない事態が起きた。


「――ずっと捜していた藍が目の前にいたんだ。驚きすぎて幻かと疑った。でもこの機会を絶対に逃してはいけないと思ったんだ」


「だから、見合いの代理を?」


「ああ」


櫂人さんから何度も話を聞いていた白坂さんは初めて私と会った日、私がもしや櫂人さんの捜し人ではと思ったそうだ。

そのため、自身が予想外の求婚を受けたせいもあるが、櫂人さんとの打ち合わせとは違う行動をとったという。

櫂人さんはタクシーに乗車した白坂さんから、電話で事情を聞いたそうだ。


あの日の彼の姿を思い出す。

それからの彼の行動は素早かった。

白坂さんの予想が見事に当たっていたと彼女に報告した櫂人さんは、すぐに私の両親と蘭子さんにも事の次第を伝えたという。
< 202 / 208 >

この作品をシェア

pagetop