丸い課長と四角い私

腹を立ててみたところで、ナルのことが気になって聞いていなかった自分の落ち度だ。

……ナルになんて説明すれば。
ナルはきっと……わかりましたって、泣きそうな顔で頷くんだろうな。

暗澹たる気持ちで宴会場に戻ると……ナルが木山に寄りかかっていた。

「……木山くん。
これはいったい……?」

殴り飛ばしたくなる身体をかろうじて抑え、ナルの横にひざを突く。
ナルは……俺の気持ちなんかおかまいなしに、気持ちよさそうに寝息を立てていた。

「あの、いや、その。
佐々さん、寝落ちしちゃって」

じろりと木山を睨むと、ひぃっと小さく悲鳴を上げて縮こまった。
そんな彼にはかまわず、ナルを自分の方へ抱き寄せる。

「くらた、かちょう……?」

ナルの自分を呼ぶ声で、まだ理性が残っていることがわかった。
そのくせ、泣きそうな顔で俺の浴衣の襟を掴んでくる。
そんなナルに。

……俺の方が理性がぶっ飛びそうだった。

「じゃあ、僕は先に、部屋に戻らせてもらうから」

ナルを抱いて立ち上がると、当然注目された。

「あ、私、佐々さんと同じ部屋なんで……」


< 27 / 35 >

この作品をシェア

pagetop