丸い課長と四角い私
『とにかく。
すぐに来て、マーくんに謝ってちょうだい。
いい?
わかった?』
 
云いたいことだけ云ってぶちっと切れた電話に、盛大にため息をついて引き出しから頭痛薬を出して飲む。
消費が激しいため、内容量が多いのじゃないとすぐに空になる。
またため息をついたら、蔵田課長がちょいちょいと手招きしていた。

「西田さん、なんて?」

「毎度の通り、すぐに来てマーくんに謝って、です」

「君にそんなことが云えるなんて、西田さんも結構、だね」

「……そう、ですね」

いつも通りの私を小莫迦にする発言にも、いまは返す気力がない。
そんな私になぜか、蔵田課長の顔がわずかに曇った。

「無視、してなさい」

「……そのつもり、です」

まわりから注がれる、同情の視線が痛い。
こんなに面倒で、すぐにでもクビにできる理由があるのに、会社は西田くんを辞めさせることができない。
一番大口の取引先の、会長の孫だから。
社会勉強させるためってうちの会社に入ってきたけれど。
実際のところは厄介払いだったんじゃないかって気がしないでもない。



西田くんと西田ママのせいで私の業務は完全に滞り、残業は連日続いた。
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