Rainbow



そして、大学の講義を終えた後、響は真っ先に待ち合わせをしたカフェへと向かう。冬斗はここであの歌い手と会う約束をし、メンバーが来ることも伝えてあると言っていた。

「ここか……」

そこは個室もあるカフェで隠れ家のような雰囲気がある。壁面に伸びたツタがおしゃれだ。響は店内へと入り、個室に案内してもらう。すでに冬斗たちは揃っていた。

「どんな人が来るのかな〜。楽しみ!」

莉奈がニコニコしながら言う。響もあの歌声の人物への想像を膨らませながら、手作りのメニュー表を開けた。

チクタクと時計の秒針の音、そして店内に流れる海を思わせるような穏やかなBGMがゆっくりと流れていく。

「あの、Rainbowの皆さんですか?」

緊張と不安が混じったような声がドアの外から聞こえ、千春が「そうです」と答える。するとドアがゆっくりと開き、シンプルなシャツにデニムパンツを履いた男性が入ってくる。その姿を見て、響は「えっ!?」と驚いていた。相手も同じである。
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