Star of Galaxy
「お~いっ、親父っ。配達行ってくるから店頼むぞぉ」
お隣の花屋の方から声がした。
「お~、行って来い」
って、答えながらおじさんは帰る様子もなく駒を並べ替え始める。
「帰らなくていいの?」
「大丈夫、大丈夫」
「今帰られたら五分に持っていけなくなるから、逃さないよぉ」
「はいはい。コテンパンにやってやりますよ」
なんだか、ダメな大人だ。でも、これで生きていけてるっていうか、私たち育てて貰えてるんだから尊敬すべき大人かもしれない。
「親父、母さんも今いないからな」
そう言いながらさっきの声の主が前が見えないほどの大きな花束を両腕で抱えながら隣の花屋から出てきた。
「私が行くよ」
私がそう言うと、花束の横から顔を出してこっち見る。
「おお、茶美。お帰り。いつも悪りいな。じゃ、親父、行ってくるからな」
「はいよ」
「茶美、バイト代は親父に貰ってくれ」
そう言い残してお隣の花屋さん、石倉弦希(イシクラ ゲンキ)くんは車に乗り込んで配達へと出て行った。
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