瞳の奥
~麗奈side~

目を覚ますと隣には、テロリストの首謀者である萩原が教会の窓を眺めていた。

「起きたのですね。」

「えぇ。」

私は足につけていた手錠を外す。

「外して良かったのですか?私は自由に動けるのですよ。」

「それなら何故、昨日のうちに逃げなかったのよ?」

「それもそうですね。」

あれから、どのぐらいたっただろうか。体感的には1時間後ぐらいに、萩原のトランシーバーから無線が入った。

「ボス、サツがこちら方面に向かってるようです。」

「命ず、サツから逃げたいものは今すぐアジトから消え失せろ。」

萩原がトランシーバー越しに話してからはこの地下広くとそびえ立つユグドラシルのアジトが騒がしくなり、半数以上はこの地を後にした。

「お前達は逃げなくて良いのか?」

「我々はボスとどこまでも着いていきます。例え地獄の果てであろうと。」

「ボス、あと10分程でサツはこの教会に着くでしょう。我々はアジトに戻ります。
麗奈様、どうかボスのお心をお救いくださいませ。」

萩原についたユグドラシルのメンバーはそこまで多くはなかったが、気をきかせてまた二人っきりにしてくれた。

「良い人達じゃない。」

「あいつらも被害者なんだ。」

「えぇ。」

それから数分たった頃、パトカーのサイレンが聴こえてきて、やがてそれらはこの教会を囲むように止まった。
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