瞳の奥
「それに、俺はあいつらの言うように過去に人を殺してる。だから麗奈に何言われても嫌われても仕方ないかなと思ったし、麗奈が決めたことなら受け入れようかとも思った。

だけど、ユグドラシルに行くって知ったときは頼むから戻ってきてって願わずにいられなかった。最低だよな、俺。」

私は、蓮の口にキスをした。

「私は蓮のことが好きだよ。頼らなかったのは、私1人でなんとかしたかったから。蓮も忙しいから迷惑かけたくないと思ったから。
私は、昔から蓮にもお兄ちゃんにも護られてばかりのお嬢様だったからさ、強くなりたかったの。それが苦しめてることになってたんだよね、気づかなくてごめんね。」

「これからは、ちゃんと相談するようにするね。ただ、これだけは解って欲しいの。ユグドラシルの人達も哀しみを抱えて生きているんだと。
もちろん犯罪は許されないけど、それだけは解ってあげて。私はこれ以上彼等に罪を重ねて欲しくないから、この事件の真相に辿り着かないといけないの。」

「やっぱり麗奈が好きだな、俺。
手伝うよ、麗奈がやろうとしてること。」

こうして、私達はようやく思いが1つになったのだ。
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