俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


時が経つのは、早いもんだ。





「そういや、音宮まだ帰ってこないのか?」



試合が始まるまでの間、ベンチ待機していたその時、輝樹がそう話を振ってくる。

だが、俺はその問いには歯切れが悪い。



「うーん。そこは、よくわかんないな……」

「おいおい彼氏だろがおまえ。夏休み明けてから一度も学校に来てないとか大丈夫なのかよ。事情は事情だけど」

「うーん……」

大丈夫なのかって言っちゃ、そうなんだけど。





……なずながフィリピンへ発ち、早一か月が過ぎようとしていた。

現在は、9月の中旬。




なずなが実の父親を亡くし、実の母親がいるフィリピンに滞在している。



夏休みが終わり学校が始まっても姿を見せないことから、この事実は知る人ぞ知る話となった。

ちなみに、なずなと同じ中学出身の輝樹は、この話を母親から聞いたらしい。

輝樹以外にもこの話を知る人には、大丈夫なのかとか、なずなは学校辞めるのかとか、そう込み入った話を彼氏の俺に聞いてくる。

だが、その先の話を本当に知るところのない俺は、『わからない……』と、首を傾げるしかなかった。

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