マリオネット★クライシス


「ぶぁっははははは!」

「ちょっとジェイ、うるさい!」
「だってさ、見た? 彼女たちのカオ! めちゃくちゃびっくりしてた」
「も、もうっ笑いすぎ!」

わたしたちが逃げ込んだのは、奥まった場所にあるプリクラのブース。
口元を手で覆って全力で笑いを堪えるジェイを睨んでからこっそり外を伺ったけど、3人が追いかけてくる気配はない。
諦めてくれた……かな?

ホッと脱力してから、気まずい思いとともにゆっくり振り返った。

レストラン、行きたかったかもしれない。
ファストフードとじゃ、月とスッポンだもんね。

「あの……ごめんね。勝手に連れてきたりして」
「どうして謝るんだ? オレ今、結構感動してる」

目尻に滲んだ涙をぬぐいながら言うジェイに、こっちはきょとん。
「か、感動?」

「――『ごめんなさい、彼はダメなの』」

「ぎゃああっ言わないで! もう忘れて!」

どっかんと発火したカオを押さえてプルプルしちゃうわたしを、「無理、一生忘れない」ってキレイな顔がニヤッと見下ろす。

「あんなクールに攫われたの、オレ初めてだし」
「さら、攫うって……」

ま、まぁ、そうなっちゃったわけだけど。
うぅ、なんだかものすごく恥ずかしい。

自分が信じられない。
あんな衝動的に行動しちゃうなんて。
こんなこと、生まれて初めてだ。

どうしてあんなこと、しちゃったんだろう。

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