マリオネット★クライシス
……彼女たちと一緒の方が、楽しいかもしれない。
そもそも、彼はただのボランティアで一緒にいてくれてるだけ。メリットなんて何もないわけで。
だったら、わたしみたいな陰キャ女子と一緒にいるより――
「っ……」
あ、あれ?
何……?
鼻の奥がツンとして……
なぜか泣きそうになってる自分に気づき、愕然とした。
ウソ、どうして?
全然、泣くところじゃないでしょ?
どうしたんだろう、わたし。
感情のコントロールなんて、いつもやってることなのに……
焦れば焦るほど、視界が潤んでいくのを止められない。
何何? なんで?
こんなの違う……違う、わたしじゃない!
狼狽えてとっさに揺らした視界の端に、ジェイの腕に絡んだ白い指が映り込む。
ドクンッ……
不穏げに胸が大きな音をたてた、次の瞬間。
わたしの足は何かに突き動かされるように勝手に前へ出て……気づいたら、彼の腕を小坂さんから奪っていて。
「……ごめんなさい、彼はダメなの」
「え? ちょっ」
「は?」「何!?」
それから――
あっけにとられる3人を置き去りにして、全速力でその場から駆け出したんだ。