マリオネット★クライシス


「もうっどぉおしてキスするかな、あそこで!」

上昇を始めた観覧車の中。
当然のごとく横並びで座るジェイへ、撮ったばかりのプリクラをぷんぷんしながら突き付け、わたしは絶賛抗議中だ。

中の一枚にバッチリ写っているのは、2人のキスシーン。
といっても、思いっきりわたしの目、まん丸に開いちゃってるけど。

最初は、普通のキメポーズで撮ってたんだよ?
なのに最後の最後、イキナリ引き寄せられて不意打ち。全然避ける余裕なんてなかった。

「いいじゃん。綺麗に撮れたし、楽しかったんだから」

「ま、まぁそう、だけど」

しぶしぶ同意して、上げていた手を膝へ戻す。
楽しかった――それは、本当だから。

2人ともプリクラ初心者で、設定から撮影まで、どこを押すんだ、ポーズはどうする、どこを見るんだ、なんて大騒ぎしちゃって。

ドタバタだったけど、すごく……ものすごく、面白かったな。


プリクラだけじゃない。
絶叫マシンもお化け屋敷もゲームも……

今日の全部が、信じられないくらいワクワクした。
本当の目的を忘れちゃうくらい、いつの間にか夢中で笑って、叫んで、しゃべって、また笑って……こんなの初めて。

あぁ楽しかったー! って大声で宣言したいくらい。


でも……もうすぐ、終わっちゃうんだよね。

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