マリオネット★クライシス
「なんだ、そっか……助かったぁ……」
実は結構、緊張してたみたい。
足から力が抜けて、そのままストン、てしゃがみこんじゃった。
あーもう、自意識過剰すぎ。
わたしみたいな二流三流クラス、誰も興味ないってば。
バッカみたい、って唇を歪めて笑ったところで、
「気分、悪いのか?」
視界に影が落ちた。
「え? あ、……」
差し出された手に気づいて、一瞬迷ったけど。
その声に揶揄うようなトーンはなかったので、「ちょっと眩暈がしただけです」って言い訳しつつ、ありがたく手を借りた。
直後。
ぐいっと強い力で引き上げられ――
「わっ!」
相手の胸めがけてダイレクトに飛び込んでしまい、あたふたしながら身体を起こす。
「ごごめんなさ――……」
慌てて謝ろうとしたんだけど、最後まで言えなかった。
あり得ないことだけど、頭の中から言葉がすっかり抜け落ちていたから。
もう一度言う。
あり得ないことだけど――言葉がどこにも、見つからなかった。
だって……間近に見上げたその彼は……ものすごいイケメンだったから!