マリオネット★クライシス
「変なとこ見せちゃって、ごめんなさい」
へたに言い訳するとボロがでちゃうかもだから、敢えてシンプルに徹してペコリ。じゃ、って、その横を通り抜けようとした。
ところが。
「あ、ちょっと待って!」
「えっ?」
ぐ、っと思いがけない強さで腕を掴まれて――ビリって電流が走ったみたいに全身が硬直した。
なな、何?
ぎくしゃく視線を移すと、宝石みたいに綺麗な双眸を見つけてドキリとする。
えっと。な、なんか……緊張する。
めちゃくちゃ見られてるような……なんで?
「あのさ」
もしかして……
こんな美形だし、やっぱり同業者だった?
どこかで会ったことあるよね、とか言われたらどうしよう?
先に言い訳しとくべきかも、あれは台詞の練習なの、とか。
そうする?
「わ、わたしっ――」
「っ、つ……」
ん? つ??
何?
「はい?」
「……つ、いでに聞きたいんだけど、渋谷駅って、どっちかわかる?」
「……は?」