マリオネット★クライシス
「やっぱ肌、キレーだねー。若いと違うよね。大女優でもやっぱ年いっちゃうとダメだな。ナマで見るとさ、メイクで隠してます、って感じがわかっちゃうんだよねー」
覆いかぶさる男にぺたぺた、頬を触られて……喉の奥に悲鳴が貼り付く。
声が、出ない。
怖い。
怖い。
嫌だ……いや、助けて……誰か、……
全身が、カタカタ震え出した。
「ねえ、どうして最初から素直に話、乗らなかったの? ブループリンスの柏木ヒナタと、って噂は、単なる話題作りだろ? それとも、誰か他に好きなヤツがいたわけ? 共演者の誰か?」
好きな、……好きな人……ジェイ……
チャコールグレイの眼差しが脳裏を過り、瞼の裏が熱くなった。
ジェイ、ごめんね。
まだ、待ってるかな……テレビ局で、わたしのこと……
視界が、じわってぼやけて。
「うわぁ、泣かせちゃった。ヤバいヤバい、そういうカオめっちゃそそるぅ!」
湿った吐息が肌に触れて、真っ黒な絶望が視界を覆いつくした。