マリオネット★クライシス
「馬淵さんね、もうちょっと仕事がかかるって言うから、それまで俺と2人でおとなしく待ってようね」
気のせいかな?
相手の呼吸が速くなった気がして目をあげると、男がわたしのベッドに移って来るところだった。
ギシ、ってスプリングが沈む感触に、なぜか背筋が寒くなる。
「こういう役得っていうの? 特別ボーナスがないとさ、やってらんないよね。安い時給でこきつかわれて、下僕? そんな感じだもんなー」
伸びてきた指にむきだしの腕を撫でられて、ザワッと鳥肌立った。
「さ、触らない、で……」
ベッドから降りたいのに、固まった身体は思い通りに動いてくれない。
やだ。
嫌……来ないで。
「心配しなくていいよ。最後まではしないから。怒られちゃうからさ」
今度こそしっかり腕を掴まれ――
「きゃあっ!」
ベッドに引き倒される。
馬乗りになってきた男が、わたしを見下ろしてニヤリと嗤った。