マリオネット★クライシス

目が慣れるのを待ってから一歩二歩と中へ……こっちはリビングルームっぽい。
高そうなソファセットとか、ホームシアター並みに巨大な薄型テレビがあったから。

じゃあ大丈夫。異世界にテレビはないはず。
妙なところでホッとしつつ、もう一度高級感あふれるその室内をぐるっと見渡す。

どうやら向こうにもまだ別の部屋があるみたい。

まるで億万長者のお宅訪問でもしてる気分なんだけど……、一体誰の家?
ジェイはどうしたんだろう?

訳がわからないまま手掛かりを求めて窓辺へ寄り、分厚いカーテンをめくった――途端。

「わ、あぁ……」


自然と声が飛び出しちゃった。

そこから見えたのは、赤くライトアップされた東京タワー、そして東京の夜景。

記念撮影でもしたいくらい、華やかでファンタジックで夢のような光景だけど……と、首を傾げる。

この角度って、つまり相当高層階にいるってことだよね。
どこかのタワマン、とか?
でも、なんでわたし、いきなりそんなところにいるの?


なんて考えていたら、うぃいんって規則的なモーター音がかすかに響いた。
めくっていたカーテンが自動的に持っていかれ、するすると開いていく。

夜空と夜景の見事なコラボレーションが、幕を開けるように露わになり――……


「素晴らしい眺めでございましょう?」


「誰っ!?」

勢いよく振り返ると、ソファの向こうに小柄な女性が立っていた。

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