マリオネット★クライシス
「大物……?」
「ファントムだよ! ボクが大ファンなの知ってるくせに」
「や、あの……」
そういえば、そうだっけ。
待ち時間によく彼の曲を聴いてたことは覚えてるけど。
「あんなMV撮っちゃうくらいだもん、仲いいんだろ? ねぇ栞ちゃんから頼んでくれないかな、ブルプリに曲書いてくれって」
この通り! って両手を掴まれお願いされてしまい、いやいややめて、と首を左右に振る。
「むむむり、だよ……」
「ファントムの曲があれば、ボクたちだって世界進出できるかもしれないだろ。協力してよぉ。ボクと栞ちゃんの仲じゃん」
協力なんて、できるわけない。
彼がファントムだなんて、ついさっきまで知らなかったんだから。
でもそのあたりをどう説明すればいいのか……
困っていると、ヒナタくんの顔がずいっと近づいてきた。
「言う通りにしてくれたらさ、またデートしてあげてもいいよ?」
ブラウンの垂れ目(カラコンだ)が、不器用にウィンク。
イケてる、と自分で思ってるんだろうけど、ドン引きだから。悪いけど。
「ごめんなさい、でもわたし、本当にファントムのことは知らな――っきゃ!?」
とっさに口から悲鳴が飛び出す。
またもやいきなり、身体がぐっと後ろに引きずられたのだ。
……気づけばわたしの身体は、覚えのある温もりの中に拘束されていた。
「――探した。勝手に出て行くから」