マリオネット★クライシス
「だって、何も……れん、らく……」
魔法でもかけられたように固まった口からは、上手く言葉がでてこない。
夢じゃないかと何度も瞬きを繰り返すその先で、チャコールグレイの瞳が楽し気に煌いた。
「ごめん。びっくりさせようと思って」
「何よそれ……」
文句を言いつつ、あっという間に忙しく音を立て始める胸を上から押さえる。
逢いたかった。
逢いたかった……
たった数日離れていただけなのに、彼の声が、眼差しが、恋しくてたまらなかった。
(もう我慢しなくていい?)
(手を伸ばして触れても……消えたりしない?)
みるみるうちに、視界が滲みだす。
きつく唇を結んだ栞は、その胸に――……勢いよく、飛び込んだ。
「……お帰りなさい」
「ん、ただいま」
拘束するように、きつく回された腕が、愛おしい。
(あぁ夢じゃない。本物だ……)
馴染んだ匂いと体温を感じながら、うっとりと目を閉じた栞――と、そこへ。
コホッコホン、とわざとらしい咳払いが聞こえた。
(あっ……しまった!)