マリオネット★クライシス

状況を思い出すなり、羞恥心が沸く。
急いで身体を離そうとしたが、ワガママな腕は許してくれない。

「ちょ、ジェイ……」

緩まる気配のない束縛に照れつつも仕方なく顔だけを動かすと、ニコニコと微笑ましく見つめる奈央と目が合った。


「お取込み中ごめんなさいね。ちょうどみんな揃ってるから、今発表したいなって。どうかな拓巳?」
「そうだね奈央さん」

「発表……?」

なんのことだろう? ジェイと顔を見合わせていると、拓巳がおもむろにチェストの上に乗っていた二つ折りの紙を手に取る。
そして2人へ、開いて見せた。

すっきり片付いた部屋にぽつんとあるそれを、さっきからなんだろうと思っていた栞は、ジェイと一緒に覗き込む。

そこには、“出生届”と書かれており――


「わかった! 赤ちゃんの名前が決まったんですね!?」


そろそろ決めなくていいのだろうか、と実は他人ながらやきもきしていた栞である。
いそいそと文字を追う。

子どもの氏名の欄を見ると――“吾妻優羽”

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