マリオネット★クライシス

オギャアオギャアオギャア……


ふと、元気のいい泣き声が聞こえた。

声のする方を2人して振り向けば、若い夫婦が慣れない仕草で赤ん坊をあやしている。
検診だろうか。


「……出産って、ほんとに命がけなんだよね」

「あぁ、そうだな」

死を覚悟するほどのあの夜の悲鳴は、一生忘れられないだろう。
それはきっと、自分が生まれた時も同じだったに違いない。

お腹の中に宿った命を何か月も守って、必死の思いで産んでくれた。
それは、何があっても変わらない事実だ。

「わたしの命こそがお母さんからの贈り物(ギフト)で……だから、そのことだけは感謝しなくちゃ」

例え他に何ももらえなかったからと言って、それが何だというのだろう?


もちろん、今もたまに考えたりはする。
宮本静のような人が母親だったら、自分の人生は違っていたのだろうかと。

――あの子の人生はあの子のもので、あたしのじゃないでしょ? あの子にはあの子の意思があって、お人形じゃないから。

しかしそれは、ただの空想だ。
仮定ですらない、非現実的な妄想。

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