マリオネット★クライシス
「そうか、こいつか。こいつがお前に逃げるようにそそのかしたんだな!?」
……はぃ?
いやいや、なんでそうなるの……
「ち、違うよ……あのね、この人は全然そういうんじゃなくて――」
このままだとジェイが悪者にされちゃう。
なんとかしなくちゃ、ってとにかく回された腕を解こうとするんだけど、なぜか彼はわたしを放そうとしない。
え? え? なんで??
焦るわたしをよそに、猪熊さんの怒りのボルテージは上がりっぱなしだ。
「いいか、こいつはうちのタレントで、俺はマネージャーだ。保護者であり、親代わりなんだよ。部外者は引っ込んでろ!」
わぁああっちょっと待って!
それ今言う!?
怒声に通行人が何事かと振り返っていくのが見て取れて、気が遠くなりそうだった。
あぁもう、なんでこんな面倒なことに……
ただ、“親代わり”のところでやっと拘束が緩んだため、なんとか抜け出すことに成功。
長身の2人の間に割り込むように自分の身体を入れて、一歩も引かずに睨むジェイを両手で押しやった。
「あの、いろいろ変な事言ってごめんなさいっ、全部忘れてもらっていいです。もう行ってください、わたしは大丈夫ですから」
「……本気で言ってる?」
信じられない、ってその色を深めたチャコールグレイの双眸は、真剣に怒ってくれてるように見える。
こんな通りすがりのヤツを庇ってくれるなんて、やっぱりいい人だな。