マリオネット★クライシス

だからこそ、巻き込んじゃいけない。
彼を、無事に行かせてあげなきゃ。

商品であるわたしに猪熊さんが手をあげたことはないけど、他の人には違うかもしれないから。
学生時代ずっと、格闘技やってたらしいし。

「この人、本当にマネージャーなんです。あんまりそれっぽく見えないけど。わたし、これでも一応女優やってて。びっくりしちゃいますよね? わたしみたいなヤツでも芸能界って入れるんですよーあははっ」

わざとバカっぽく言ってお気楽な笑顔を向け、
お願いもう行ってと拝むように念じていたら、

「…………」

そのうち、尖っていた眼差しが困惑したように揺れ出して、ホッ。

よかった、わかってくれたみたい。

「あれって、猪熊さんの車だよね。早く行こっ」

さっさとここから離れよう。
まだ飛びかかりそうな勢いで身構えてる猛獣みたいな男を引っ張るようにして、わたしはビル前に横付けされた黒のセダンへ足を向けた。








ガッシャーーーーン!!!!!







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