マリオネット★クライシス

「いらっしゃい、待ってたよジェイ!」

ワンピースの美女と入れ違うようにしてお邪魔したわたしたちを出迎えてくれたのは、ボーイッシュなショートカットの女性だった。

思わず玄関先に突っ立って、“友達の母親?”って二度見してしまう。
だって、わたしたちと同年代の子どもがいるなんてとても思えない若々しさだったから。
わたしより背が高くて、手も足も細くて長くて。
ナチュラルメイクっぽいのに、オリジナルの目鼻立ちが整ってるせいなのか華があって……そう、まるでタカラジェンヌみたい。

(しずか)さん、いつも突然連絡してごめん」
「気にしないで。頼ってくれて大感激だよ」
「でもさっき、お客さん来てたんだよね?」
「大丈夫大丈夫、もう終わるところだったから」

どうやら本当に、メッセージの送信先はこの静さんっていう女性だったみたい。

すごいな、友達のお母さんとこんな風に仲良くできるなんて。
それって普通なの? それともジェイが特別?
まぁ、友達いないわたしにわかるわけないか――……って、あれ?

ちょっと待って。
彼女の顔、どっかで見たことあるような……

気のせいかな、とわたしがこっそり首を傾げた時、
ジェイにちょいちょいと手招きされた。


「静さん、紹介させて。メッセージにも書いたけど、彼女がユウ。ユウ、こちらは宮本静さん。スタイリストなんだ」

なるほど、スタイリストさんか。
もしかしてどこかの現場で会ったことあるのかな、それで見覚えが……
「あ、あの、初めまし――」

次の瞬間、続く言葉が全部口の中から抹消されて、
「ええっ!?」ってマトリックスみたくのけぞっていた。

あの(・・)、宮本静っ!?」

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