マリオネット★クライシス

だってブランドものだよ!?
彼はただの学生で……え、なんでそこまで……

「ややっぱり、無理ですっ」

ぶるぶる必死に首も手も振ったのに、豪快に笑い飛ばされただけだった。

「察してあげなよー。彼女に服贈る、男の気持ちってやつ。あの年でそれをさらっとやっちゃうところが、生意気だけどねえ」

「や、わたしは別に、ジェイの彼女ってわけじゃ……」

そりゃ、男性が女性に服を贈るのは、その後……むにゃむにゃ、ということくらいは知識として知ってる。

知ってるけど、わたしとジェイに、それは当てはまらない。
何せ初対面の上、こっちから頼んで抱いてもらおうとしてるんだから。

「まぁまぁ、こういう時は男に花持たせてやればいいんだって。あいつ、結構金持ってるみたいだから、気にすることないよ」

押し切るように言われて、そうなのかなぁと半信半疑で並んだ服を眺める。
だって、これはたった半日のための変装で、服は小道具で……


「……わ、わかりました」
結局、仕方ないかと諦めた。

あんなハイレベルなイケメンがデートしてくれるって言うんだもん。
並んで歩いて、恥かかせちゃダメだと思ったから。

しかもあの宮本静が選んでくれるっていうんだし、こんなチャンスは二度とないだろう。

うん、そうだよ。
かかったお金は、別れる時に払えばいい。
コンビニで貯金下ろせば、なんとかなるはず。

腹をくくったわたしは、「全部お任せします。よろしくお願いします」と頭を下げた。

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